冷蔵庫収納家 福田かずみ
私は、小さな頃から料理が大好きでした。
誰の影響なのかな?それは、今でもわからないのだけれど
強いて言えば、反面教師からなのだと…
私の母は、外で働くことが好きで家にほとんどいませんでした。
今でも、思い浮かぶのは父と二人の食卓です。
そんな食卓で、躾をしてくれたのも父でした。
お茶碗のご飯は一粒でも残してはいけないこと。魚の食べ方も、骨についた身を
丁寧にたべる父の姿に学びました。
私が中学生になる頃には、台所に立つことが増えました。
中学校から給食がなかったので、お弁当も自分で作るようになっていました。
そう話すと、皆さん驚かれるのですが、料理が好きでしたので全然苦になりませんでした。
夕食もしかり。でも、片付けが苦手な私でしたので、食事の支度が終わる頃には
台所はいつも洗い物の山になっていました(笑)
食事が終わってからの洗い物は、決まって父の役割でした。
そんな何でもない日常でしたが、今でも鮮明に覚えている風景があります。
それは、明日のためにお米を研ぐ父の姿でした。
流しに溢れてしまったお米の粒を、水道の水で流してしまうことはなく、一粒一粒丁寧に拾っていました。
指に押し付けるようにして、残すことなく拾うそんな父の背中は、何年経っても忘れることがありません。
私が食べものを捨てられないのは、きっと父の教えを大切にしたいからなのかもしれません。
そして、何より嬉しかったことは、私が料理をつくることで父が喜んでくれたこと。それが一番のモチベーションだったのかもしれません。お酒のおつまみを作ることも得意でした。高校生になる頃には、親友にもお弁当を作ってあげたり、私の手料理を喜んでもらえることが何より幸せでした。
きっと、それが私自身の価値であり、愛情表現だったのでしょうね。
今でも、そのことは変わりません。
小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「お母さんになること」でした。
子どもながらに手料理で温かな家庭をつくりたかったのでしょう。
これも、母が家にいなかったからなのでしょうね。
結婚し二人の子どもにも恵まれ、思う存分料理をつくり私の夢は叶いました。
息子が、小学校に入学したことを機に、料理を通して人の役に立ちたいと思うようになりました。
特に、食事づくりを苦痛に感じているお母さん(お父さん)の手助けができればと思ったからです。
料理研究家フルタニマサエ氏のもと、料理教室・TV・料理本の撮影アシスタントを経験し全国料理学校協会の認定講師になることができました。同時に服部栄養専門学校にて食育を学びました。
自宅で料理教室を主宰しながら、どうしたら忙しいお母さん(お父さん)達に台所に立ってもらえるだろうか・・と考えるようになり
大切なのは、美味しいレシピよりも食事づくりをする際の「環境」なのではと。
自身が苦手だった片付けを克服するために学んだ整理収納の手法を冷蔵庫に当てはめ、毎日の食事づくりを快適にしてくれる冷蔵庫収納術を構築しました。
冷蔵庫の使い方から、料理を伝えるようになり広く発信するようになったのが、2015年2月にオープンしたWEBサイト【美人冷蔵庫LIFE】です。
使いやすく整った冷蔵庫なら、食事づくりがスムーズにはかどり気持ち良く調理をすることができます。
その効果は、私たちの暮らしに良い循環をもたらしてくれます。
そして、昨今 大きな社会問題となっている「食品ロス」。家庭の冷蔵庫から食品ロスをなくす啓発にも積極的に取り組むべく活動を広げています。その背景には、きっと“食べものを大切にする”父の心が私の中に息づいているからです。
食べものを捨てる時、「もったいない」と感じる心はきっとどなたにでも備わっていることだと信じます。その思いをもっと大切に、冷蔵庫収納から解決できることが沢山あることを伝え続けています。
食べものを大切すること、そんな食文化を次世代へ継承して行かれますように。
【プロフィールB面】とは
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
私がこの活動をするに至った経緯を、実に掘り下げて綴りました。そこには、育った環境が大きく影響をもたらしています。
公にするには、少々恥ずかしくもあり、でもその気持ちをどこかにこっそりと置いておきたくて・・・”プロフィールB面”と表現してみました。