食品ロス削減アドバイザー・冷蔵庫収納家の福田かずみです。
2025年2月21日、神奈川県相模原市にあります株式会社日本フードエコロジーセンターを見学しました。
こちらは、食品ロスの削減と循環型社会を実現する会社で、食品の製造過程で出る副産物や残渣を家畜用の飼料に再生する工程を見ることができました。
工場内はとても衛生的で、2階から見学するための通路を進み案内していただきました。
まずはじめに驚いたのは、食材ごとに選別されていることでした。
その理由は、栄養バランスを考えて配合しているとのこと。どのタイミングでも過不足なくバランスの取れた飼料をつくるためです。
食品工場から運ばれたコンテナです。キャベツの外葉が沢山ありますが、野菜だけでなく炭水化物も。ご飯やパンも分けられて搬入されます。こちらは、ある大手中華料理店からの餃子や春巻きの皮です。
こんなに沢山・・と思ってしまいましたが、皮を作る工程で何回ものしては型抜きをした残りとの説明がありました。何度も成形し直すと食感が損なわれるので、そうして出てしまう残渣なのですね。
「食品ロスは絶対悪なのか?」そんな問いを持つようになりしばらく経ちますが、思考の整理をしながら見学していきました。
こちらに集められた食材は、硬くて粉砕しにくいものとのこと。丸ごとのリンゴやパイナップルの皮も。硬いフランスパンなどもありました。
ここで、細かくして次の工程に進みます。
ここでは、水分を加えながら混ぜていました。高圧洗浄機のような噴霧器から出る水でコンテナにある食材を余すことなく移し替えていました。きっと、細かなコツや要領があるのでしょうね。
液体になった飼料の素は、こちらのタンクに移され90℃で60分以上攪拌して殺菌されます。そのあと冷却、乳酸菌による発酵を経てph4以下に調整して完成します。
6日前にできたリキッド発酵飼料です。殺菌、乳酸発酵させphを調整することで保存性を高め、常温で2週間保存することができるそうです。
蓋を開けて飼料の様子を見させていただきました。匂いを嗅いている様子を動画でチラッと^^
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色はぬか床に似ているのですが、香りはとてもマイルドでした。「思ったより臭わない」との感想が多いそうで、私も本当に驚きでした。
養豚場では。この飼料が置かれると豚さんたちが集まってくるそうです。栄養バランスも優れたご飯ですものね。生育も良く発酵による腸内環境の改善も期待されているそうです。
また、リキッド状であることで消化効率が上がり糞尿の排泄が抑えられるのだとか。アンモニア臭を軽減できると。しかも、リキッドにするための水分は牛乳やヨーグルトといった良質な食品をそのまま利用しているのでコストダウンに。一般配合資料より半値ほどの安価で提供できるそうです。
その他の良い点は説明し尽くせないのですが、日本フードエコロジーセンターの飼料で育った豚は、「優とん」(ゆうとん)と名付けられ、乳酸発酵飼料育ちのブランド豚としていただくことができるとのことで、見学帰りに寄ってみました。
火焔山餃子房塩田店の「優とん餃子」。もちろん美味しくいただきました♪
この度の見学を通じて、食品ロスという資源の有効活用を体感することができました。
日本の食料自給率は約38%です。さらに言うと、国産の食肉を生産するために必要なエサはほとんどが外国から輸入した穀物です。本当の意味での国産ではありません。
捨てられてしまう食べものが家畜のエサに循環リサイクルされることが広がれば、食料自給率の向上につながると思います。
また、私たちが食べたいときに食事ができる世の中の裏には、どうしてもロスが発生してしまいます。もちろん発生抑制が第一ではありますが、それでも出てしまう食品ロスはこのように良質な飼料に生まれ変われること。日本フードエコロジーセンターでは、素晴らしい循環が実現していました。
もっともっとこのような食品リサイクルが広がることを願って、レポートを終わりにいたします。

中央:日本フードエコロジーセンターの高橋功一社長右:ごみダイエットアドバイザーの橋本祐子さん
「『食品ロス』に新たな価値を」
高橋社長から理念を伺うことができました。
実は、飼料への循環だけではありません。食品廃棄物をメタン発酵によってバイオガスを発生させ発電する取り組みも始まっています。高橋社長から目が離せません!
この度の見学を企画してくれた橋本祐子さんにも感謝をお伝えいたします。