福島市「あらかわクリーンセンター・リサイクルプラザ」訪問記

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食品ロス削減アドバイザー・冷蔵庫収納家の福田かずみです。

2023年3月28日、福島市のごみ焼却施設あらかわクリーンセンターとリサイクルプラザを訪れました。
施設見学は、通常 団体受付で行われているそうですが、今回は特別にご案内していただきました。

施設に近づくと、ごみ収集車や自己搬入する車の列ができていました。

奥に見えるのが「あらかわクリーンセンター」です。福島市のごみは、ここと「あぶくまクリーンセンター」の二ヶ所に運ばれます。

施設内に到着後目に留まったのが、ダイオキシンなどの排出ガスの基準値と現在の濃度を表す電光掲示板でした。

近隣にお住まいの方への情報開示がされているのですね。私たちが当たり前のように捨てているごみは、燃やせば済むものではなく、様々な配慮が施されていることを感じます。

まずは、あらかわクリーンセンターに隣接するリサイクルプラザへご挨拶を。主任の大戸さんが出迎えてくださいました。

はじめにご案内いただいたのは、再生自転車です。

全て粗大ごみとして出された自転車ですが、きれいに整備され新品同様に見えます。

値札も付けられていて、どれも3,000円。幼児用の自転車は2,000円と、求めやすい価格帯も魅力ですね。こちらのリサイクルプラザでは粗大ごみの中から自転車と家具を再生し抽選販売をしているとのこと。

奥へ進むとリサイクル工房があり、二人の職人さんが作業をされていました。まず目に飛び込んできた風景です。この、沢山の部品を見てください!粗大ごみだった自転車からレスキューされた部品たち。一台一台丁寧に解体されたことがうかがえます。

使える部分はこのようにストックされ、次の出番を待っているのですね。丸いものが多く、幾つもの種類に分かれていました。カラフルなベルは子どもの自転車についていたのかな。この光景を目の当たりにし、職人さんの根気強い手仕事に感動してしまいました。

こちらの棚にはサドルが積まれていました。どれも大切な資源なのですね。

職人さんは、この中の一つを手に取り、「磨いてみたけれど、日焼けによる色褪せは綺麗にならなくて・・」と。ものを大切にする心もちに触れ、感動が止みませんでした。

整備中の自転車も見ることができました。新たな息吹きを得て、また福島の街を走るのかな^^

お隣のエリアは、家具のリサイクル工房となっています。昔懐かしいロッキングチェアの修理中でした。座面を外して、張替えをされるとのこと。椅子本体はすでに磨かれていてとても艶やかでした。

再生された家具も展示コーナーに並びます。籐でできた椅子も綺麗に生まれ変わりました。

子どもの学習机やチェストなど、開閉もスムーズで十分使えるものばかりです。

来月から始まる展示会に向け、沢山の自転車や家具が並べられています。令和5年度第一回目の展示は、4月3日〜28日まで。抽選日は5月1日です。毎回多くの応募があるそうです。令和6年2月まで、一年で6回の展示抽選会が行われます。

続いて、図書コーナーへ。本棚には、漫画や小説などがズラリ。図書館のように整頓されていました。沢山の本がお手入れされ、また次の読者へと繋げていく。素晴らしい取組みです。

リサイクルプラザの入り口には、ご当地キャラクターの”ももりん”とともにリサイクル本の受付をしています。読み終わったリサイクル本も、またここに戻す仕組みになっていました。

なんと、ここで使われているボックスも「茶箱」をリサイクルしたものでした。茶箱を見たのは何十年ぶりでしょうか。私の実家でも押し入れの奥にあったことを思い出したり・・。
福島市リサイクルプラザには、”もの”を大切にする極意が溢れていました。

さあ、いよいよ「あらかわクリーンセンター」へ。

まずは、搬入された資源物を人の手で選別する部屋へ。中ではベルトコンベアーで流れてくるアルミ缶から、ポリ袋を取り除いていました。下の写真は、「空き缶に混入していた不適物」の例です。スプレー缶やガスボンベが見られます。

ここに「危険!!」と書かれていますが、具体的にどのように危ないのかと言うと、残っているガスが爆発する可能性があり、実際には、清掃車火災となったケースがあります。人命はもちろんのこと、燃えてしまった清掃車が廃車となれば一台につき1,000万円以上の血税が失われることに。

また、最近ではリチウムイオン電池も同じような火災につながっています。燃えるごみなどと一緒に出されると、回転板に押しつぶされ発火します。携帯、電子タバコ、モバイルバッテリーなど充電するあらゆる電子機器の電池は、適切に分別する必要があります。

さて、ごみピットには次々と燃えるごみが運ばれてきます。福島市の方は見慣れた清掃車ですね。集められたごみは、クレーンで焼却炉にうつされるのですが、クレーンがする役割はそれだけではありません。

燃えるごみの中には、多くの水分が含まれています。水気が多いと燃えにくくなり、燃焼を助けるために重油を注ぐことになります。そのため、ごみに含まれる水分をならすようクレーンで攪拌します。燃料の使用を最小限に抑えるためです。この時は、一部にまとまった植栽ごみを、全体に散らしていました。生ごみより水分の少ない枝をバラしているようでした。

昨今の燃料高は、私たちのごみ処理にも影響しているとのこと。全国の自治体からも声掛けがされていますが「生ごみの水切り」が大切なのも納得いただけると思います。クレーン操作の大部分がこの攪拌で、焼却炉に運ばれるシーンを観れるのは稀であると、大戸さんが仰っていました。

制御室の様子も、多くのモニターで監視されていて安全で効率の良い運転を管理しています。なんだかかっこいい。

続いて、大戸さんの授業です。受講は、この度アテンドいただいた福島市在住の川島ゆう子さんと。

普段は、福島市内の小学生のために環境授業を行なっているとのこと。

こちらのごみに見立てたポリ袋は、実際に一日あたりに出されるごみの量(重さ)を体感できるようになっていて、福島市とごみ排出量が少ない別の自治体とを比べるために作られたそうです。持ってみると実にわかりやすく、子どもたちも楽しくごみ減量について学んでいることがわかりました。

福島市のごみに関する門答集には、子ども達からの素朴な疑問が沢山。どの質問にもわかりやすく回答されていました。

廊下に出ると、子ども達から寄せられた感想が、壁一面に貼られていました。ごみからは、様々なことを学ぶことができます。「ごみ育」とも言いますが、ESD(Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」)のためにも「ゴミを知ること」はとても大切だと思います。

 

施設の外も案内していただきました。搬入された粗大ごみの仮置き場。ここでは、リサイクルできる家具を選別するそう。需要のある家具などの目利きは大切ですね。

ここには、圧縮されたペットボトルが積まれています。廃ペットボトル、最近ではその価値が見直されていて、こちらも大切な資源です。家庭から出されたペットボトルは、ラベルを剥がし中身を洗浄することで質の良い製品に生まれ変わることができます。駅のごみ箱などから回収される事業系のものより資源としての価値が高いのです。

こちらは、ごみ出しが困難な方向けの「ふれあい 訪問回収」の専用車です。回収の際はひと声掛けて安否確認も担っているそう。やさしい町、福島。

私は、令和5年度、3期目の福島市食品ロス削減アドバイザーを務めます。今回は、食品ロスではなく「ごみ」をテーマに書かせていただきました。

私は、食品ロスを含む「ごみ」を取り巻くあらゆることに関心があります。集積所にごみを捨てれば、きちんと回収され、私たちの暮らしは守られています。これは、当たり前のことなのでしょうか。でも、この日常に感謝の気持ちを持つと見えてくる風景が変わってくると思います。
敬う気持ちを忘れずに、私たちもできることから ごみを減らしていかれたら。

福島市リサイクルプラザを訪れ、大切な資源を無駄にしない静かな心意気を感じ、とても心地のよい時間を過ごさせていただきました。

 

福島市リサイクルプラザの大戸さんと

最後に 大戸様、終始私たちからの質問に熱心にお答えくださり、誠にありがとうございました。大人の社会勉強、とても楽しく学ばせていただきました。

 

福島市飯坂町での枝垂れ桜と

そして、この度アテンドいただいた福島市在住の川島ゆう子さんに心から感謝を申し上げます。

 

 

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