こんにちは。食品ロス削減アドバイザー・冷蔵庫収納家の福田かずみです。
最近、食品ロスに関する執筆のご依頼が増えて参りました。本日締め切りだった自治体が発行する広報誌の原稿も無事に収めることができました。
ところが、紙面の都合で一部カットすることなりまして、せっかくですので、こちらに残しておきたいと思います。
食品ロスはさまざまな場面で発生します。たとえば、スーパーでの買い物や、保存に欠かせない冷蔵庫に、はたまた調理の過程でも。在庫を抱えすぎて使いきれなくなることもあります。
そんな食品ロスを防ぐための五つの視点をまとめました。ぜひ、ご参考になればうれしいです。
「食品ロスをへらす5つの心掛け」
⑴ 買いもの
食品ロスはスーパーでの買い物から始まっています。 特売品やまとめ買いに惹かれることもありますが、「本当に使い切れるか?」を考えて選ぶことが大切です。重複買いを防ぐためには、冷蔵庫の在庫をチェックし、買い物リストを持っていくと安心です。 また、食品の期限表示も正しく理解し、買い物時に確認しましょう。賞味期限は「おいしさの目安」で、多少過ぎても食べられます。消費期限は「安全に食べられる期限」で、過ぎたものは食べない方がよいとされています。 さらに、すぐに食べる食品は、棚の手前にある期限の短いものを選ぶ「てまえどり」を意識すると、お店の食品ロスを減らせます。例えば、今晩つくる麻婆豆腐なら、棚の手前にある豆腐を選ぶことで、社会全体の食品ロス削減にも貢献できます。
⑵ 冷蔵庫収納
買った食材を無駄にしないためには、保存方法の工夫も重要です。在庫管理がしやすいように、棚ごとに配置を決めて整理しましょう。例えば、期限が長い食品は手の届きにくい一番上の棚に、早めに食べ切りたいものは目線の高さより下の棚にまとめると管理しやすくなります。
また、開封済みの食品を専用のケースにまとめると、迷子にならず優先的に献立に取り入れることができます。
棚の奥は手が届きにくい場合も。そんな時は、トレーを使って引き出し収納にすると便利です。定期的に全ての食材に手を触れ、調味料ボトルの向きを揃えるだけでも庫内がすっきりし、使い忘れを防ぐきっかけになります。
⑶ 備蓄食品
非常食は「使いながら買い足す」ローリングストック法を意識しましょう。長期間保存していると、うっかり期限切れになることもありますが、“普段の食事に取り入れながら”食べた分を買い足せば、無駄なく管理できます。缶詰やレトルト食品だけでなく、海苔やドライフルーツ、ナッツ類も非常時の栄養補給に役立ちます。日常的に食べながら備える習慣が、食品ロス削減にもつながります。
⑷ 調理の工夫
食材を無駄なく使えば、食品ロスも栄養のロスも防げます。例えば、ピーマンの種やワタには可食部の10倍の栄養が含まれています。(※1) 姿煮や丸焼きなら、気にせず食べられます。
私は、ピーマンの肉詰めも種やワタを取らずに作ります。豚バラ肉やベーコンで巻いたり、チーズと合わせるのもおすすめです。種やワタを取らないことで、調理の時短になることも嬉しいポイントです。
その他にも、大根の皮は厚めに剥くと立派な食材に変身します。一口大に削ぎ切りして、白菜の代わりに八宝菜を作ったり、お漬物にしても新鮮な歯ごたえを楽しむことができます。
また、ブロッコリーの芯は、周りの硬い部分を取り除いて乱切りにし、花蕾(ふさ)と一緒に茹でるだけで美味しくいただけます。さらに、煮物に使うだしパックは、取り出さずにそのまま味付けして煮込むことで、煮物と同時にふりかけも作ることができます。とっておきの食品ロス対策は、野菜室を定期的に空にすること。そんなときは、残り野菜で作るスープがおすすめです。ぜひお試しください。
⑷ 外食
外食をするときも、食べきれる量を考えて注文すると食品ロスを防ぐことができます。
最近は「ハーフサイズ」や「小盛り」が選べるお店も増えているため、自分に合った量を選んでみましょう。
食べきれなかった場合には、持ち帰りを考えるのもよいでしょう。2024年12月には、食品ロス削減の推進と食中毒予防の両立を目的とした『食べ残し持ち帰り促進ガイドライン』が公表され、持ち帰りへの理解がいっそう進むことが期待されています。持ち帰る場合は、適切に保存し、できるだけ早めに食べることが大切です。
⑸ お裾分け
食べきれない食品は、お裾分けやフードバンクへの寄付も一つの方法です。フードバンクは、余った食品を必要な人や福祉施設に届ける取り組みで、世田谷区では様々な地域で受け付けています。
また、ご近所での食材シェアもおすすめです。「食べきれない」「余った野菜がある」など、お裾分けを通じて食品ロスを減らし、地域のつながりを深めることができます。その際は、相手の都合を考えながら、例えば「ピーマンある?」といった声掛けにすると断りやすくなります。
私のご近所にお一人暮らしの方がいらっしゃり、「食べきれなくて」とよくお漬物をいただきます。「さっき開けたばかりだから」といった温かなやりとりが心地よく、こうした小さな交流が広がることで、食品ロスの削減につながると感じています。
【むすびに】
「食品ロスをへらす5つの心掛け」、皆さんの暮らしの中で実践できそうなことはありましたか?
少しの意識を変えるだけで、食品ロスはぐっと減らせます。ぜひ一緒に、環境にも社会にも優しい暮らしを広げていきましょう。
※1東京慈恵会医科大学附属病院 栄養学部 監修著書 「その調理、9割の栄養捨ててます!」より