こんにちは。食品ロス削減アドバイザー・冷蔵庫収納研究家の福田かずみです。
今日は、家庭内の食品ロスについて、高校3年生からいただいた質問と回答をご紹介したいと思います。
課題研究の授業で「家庭内の食品ロス」をテーマに研究を進めるにあたり7つのご質問をいただきました。それぞれお答えしたものを紹介していきます。
どんな対策をしているのか具体的なこと
・冷蔵庫の中を整理して、何がどこにあるか分かるようにする
・買いすぎない。買い物前に冷蔵庫を確認し、メモを取ったり、庫内の写真を撮る。
・食べない食材は早めに冷凍する
・野菜の皮や茎なども捨てずに「まるごと調理」
・期限表示(消費期限・賞味期限)を正しく理解する ・「食べきり」「使い切り」「捨てない工夫」について家族と共有する
例) ロスにしないようにつくった料理など、その背景を話すようにしています。 最近のエピソードを紹介すると、マクドナルドのドライブスルーで注文したコー ヒーがカフェオレだったんです。 私は甘い飲み物が苦手なので、飲むことができ ません。そこで、捨ててしまうのは忍びないので、製氷皿で凍らせ、翌日ミキサ ーにかけて「かき氷」にしてみました。そこに、バニラアイスをのせたら家族も 美味しい!と食べてくれました。その際には、このかき氷ができるまでのストー リーを話すことで、捨てない工夫を楽しく伝えられると感じています。
また、食品ロスを減らすための啓発活動にも取り組んでいます。 たとえば、
・講座やワークショップで冷蔵庫の整理法やエコレシピを伝える
・小学校〜高校ではSDGsと食品ロスをテーマにした講演会
・各メディアやSNSなどで、楽しみながら続けられるアイデアを発信 今年の6月には、東京都世田谷区の広報誌にて 「食品ロスを減らす6つの心掛 け」と題して寄稿しました。 よろしかったらご覧ください。
https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/25994/246.pdf
その他、子どもたちと「すてないレシピカード」を作るなど、こうした活動を通 じて、身近なところから食品ロスを減らすきっかけを届けたいと考えています。
家庭内のフードロスが起こる理由
食品ロスの原因は、「食べ残し」「直接廃棄」「過剰除去」の3つに分けること ができます。
「食べ残し」は、文字どおりですね 「直接廃棄」は、封も開けずに、調理もされないまま捨てられてしまうこと 「過剰除去」は、皮のむき過ぎ、ヘタの取りすぎなどです。
以下、具体的な理由になります。
・買いすぎや作りすぎで食べきれない
・食材の存在を忘れて、冷蔵庫で腐らせてしまう
・賞味期限が切れていたら、まだ食べられるのに捨ててしまう
・大根の皮、ブロッコリーの芯やピーマンのタネやワタなどおいしい食べ方を知らず捨ててしまっている 「もったいない」と思いながらも、習慣や思い込みでムダにしてしまっているこ とが実に多いです。
フードロスがかなり起こっているのに人は行動しようとしないのか、それに ついての対策は?
たしかに、食品ロスの問題はたくさん取り上げられていますが、「実際に行動に 移す人」は限られた方々だと感じます。 私は食品ロス削減の視点から、冷蔵庫整 理や保存の工夫を伝える講座を行っていますが、参加される方はもともと意識の 高い方が多いです。 本当に伝えたいのは、「食品ロスの問題にまだ気づいていない人」や「自分ごと に感じていない人」にどう届けるか、ということ。 これは私だけでなく、多くの 自治体も同じように課題として感じている点です。 そこで、講座に参加しない方にも届くように、「食品ロス × 冷蔵庫整理」のパネ ル展示を行っています。展示場所も工夫をしていて、たとえば
・市役所や区役所のロビー
・大学のキャンパス内
・大型商業施設
・地域の環境イベント
などで、気軽に立ち寄った先で、ついでに見てもらえることで、ふと関心を持つ きっかけになるかもしれません。 「関心のない人にどう届けるか」は、これからも考えていくべき大切なテーマだ と思っています。
今までどんな対策が一番効果的だったのか
私が一番効果を感じているのは、やはり冷蔵庫整理です。 庫内を「見える化」す ることで、食材の存在を忘れずに使い切ることができ、買いすぎも防げます。 ただし、冷蔵庫を整理したからといって、どれだけ食品ロスが減ったかを数字で 測るのはなかなか難しいのが現実です。 そこで効果を「見える化」するために、私は「食品ロスダイアリー」という方法 も取り入れています。
食品ロスダイアリーとは、家庭で捨ててしまった食べものを、日付・理由・内容 などと一緒に日記のように記録するものです。
たとえば
・7/15 野菜炒めの残り → 食べきれず処分(分量が多すぎた)
・7/18 レタス1/2玉 → 冷蔵庫の奥でしなびていた(存在を忘れていた)
などと、こうして記録することで、自分の食品ロスの傾向や原因に気づきやすく なり、自然と意識が変わっていきます。 ”レコーディングダイエット”という記録するだけで体重が減るというダイエット 方法がありますが、食品ロスも同じことが言えます。
環境省でも「食品ロスダイアリー」の活用を呼びかけていて、家庭向けの記録シ ートがダウンロードできるようになっています。
https://www.env.go.jp/content/000062444.pdf
このように、冷蔵庫の整理と合わせて記録をつけることで、「見えにくい食品ロ ス」を自分の目で確かめ、行動につなげることができるようなると感じていま す。
どのような志でやっているのですか
私にとって、食べものを大切にすることは「生き方」そのものです。 日々の選 択や行動の中に、食べものへの敬意を込めています。 また、食べものを大切にすることは、自分自身を大事にすることにも通じている と感じます。 食べものを通して、自分にやさしくなれるといいですよね。 最後までおいしく食べきることは、生産者の方や強いては地球環境への思いやり にもつながっていると感じています。 「ムダにしない」ということは、決して我慢を強いたり、ガミガミ叱ったりする ことではありません。 自分をいたわるように、食べものにもやさしくする――そんなイメージです。 この考え方を、これからも多くの人に届けていけたらと思っています。
もし今までの活動が伝わっていないとしたら何が足りないと思いますか?
食品ロス問題の解決として、特に冷蔵庫整理は、「理想的すぎる話」「できる人 だけがやること」と受け取られてしまうことがあります。
「福田さんだからできるんでしょ」と思われないように、語り方にとても気をつ けています。 完璧じゃなくていい、小さな工夫でもいいので・・と ことばの選 び方や表現のトーンにはいつも注意しています。 伝える内容だけでなく、「どう伝えるか」がとても大切だと感じています。 そし て、もし伝わっていないことがあるのだとしたら、私はこの「伝え方」をもっと 磨いていきたいと思っています。
若い世代にも伝わる方法とは
・学校(学年)全体で、年間をとおして食品ロスをテーマに探求プログラムを行う。 エコレシピを「実際に作ってみる」食品ロスの現状を調べ「考えて発表する」な ど体験型の授業をする
・自分ごととして感じられる話を届ける(同世代の方からの発信など)
食品ロスというと、ちょっと堅いテーマに感じられることがあります。 でも「おいしい」「楽しい」から始まることが一番だと思います。 食材を使いきるレシピを工夫したり、冷蔵庫の中を整えてワクワクしたり、 「ム ダにしない」が”おしゃれでポジティブな選択”として広がっていくこともあると 思います。 このように、食品ロスを出さないことが、暮らしの中で“ちょっといいこと”とし て当たり前になる。 そんな空気をつくっていけたらと思います。
⻑くなってしまいましたが、高校生から寄せられた7つの質問にお応えいたしました。
学生の方が「家庭内のフードロス」について関心を持ち、課題研究として 取り組まれていること、とてもうれしく思いました。今回の研究が、多くの気づきや行動のきっかけにつながっていくことを、心からから願っています。✨





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